Vol.5 ビンテージ家具とBlackboard
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スタッフ:茨城県つくば市にある姉妹店「Blackboard」はビンテージ家具ショップですが、アンティーク家具やビンテージ家具を扱う”専門ショップ”を立ち上げることになった、きっかけは何かあったのでしょうか?
(島田)むかし旅したイギリスで、蚤の市やお店を見て回っている時に買ったものを日本に持ち帰ったりしていたんですが、そういうことを何回か繰り返しているうちに買い物の量も増えていくんですよ。
それで「これどうやって持って帰る?」となっていた時に、周りで買付している人たちの姿を見て「なるほど、そうすれば良いのか!」と、現地で色々と買付や仕入れの仕方を学びました。それが本格的にビンテージ家具を扱う最初のステップでしたね。
アンティーク家具もビンテージ家具も、同じ年代にたくさん作られたものだったとしても、それぞれ違う表情を持っているものなんです。
例えば、一人が長く使ってきたか、何人かの手を渡ってきたかによって、家具から滲み出てくるオーラのようなものが変わってくるんです。『この椅子は一人のオーナーさんとずっと何十年も共に過ごしていたんだろうな…』、ということや『このチェストは20年ぐらいで手放されて、別の誰かの手に渡って5年くらい使われてきたのかな…』という感じで。面白いもので、何人かの手を渡ってきたような家具は、そのものが放つオーラみたいなものがちょっと濁ってくるんですよ。
どんな歴史を歩んできたのかな、と考えながら見るのがビンテージ家具の本当の面白さかもしれませんね。ただ古ければいいというものではないし、古いから何でもかんでも綺麗にメンテナンスすればいいということではないんです。古いものには古い良さがあるし、くたびれた状態の方が、その家具の良さが引き立つものもありますから。
自分の家具とは対話していくような感覚や関係になっていけたらいいですよね。そいつがいるから、あの椅子があるから自分の家、という感覚になるみたいな。
どんなにかっこいいホテルに泊まったとしても、何となく落ち着かない、なんか気が休まらない、そういう感覚は、そこに自分の仲間がいないからじゃないかと思うんですよ。仲間と思えるものと共に暮らすからこそ、そこに自分の核が生まれてくるんじゃないかと思うんです。生活環境そのものが人やモノに与える影響は想像するよりはるかに大きいですからね。
北欧やイギリスのビンテージ家具を扱うつくばのブラックボードでは、自分たちが今まで経験した海外の原体験みたいなものを表現して、何か伝わるものがあればいいと思って作りました。
その場所や店が持つ空気感ってあるじゃないですか。『何かわかんないけど、この店かっこいいよね』みたいな感覚的なところ。
フェイクで作ったものでも一瞬は『素敵』ってなるかもしれないけど、1・2回来れば十分、みたいになってしまうんですよ。本物だけが持つ空気感や醸し出す雰囲気、そこにはちゃんと作為的な仕込みをしているから、うまくハマっているはずです。
(幾子)素材が本物か本物じゃないか、そういう違いによって差が出ますよね。
(島田)たとえ微弱な電波だったとしても、僕らが発信するメッセージは伝わる人には伝わると思っています。そう信じて、ブラックボードには『何かかっこいいよね』と思ってもらえるメッセージをちゃんと散りばめているんです。
(幾子)私たちのメッセージは、リアルな部分で伝えていることがほとんどです。今の時代はメタバースとかバーチャルリアリティとかで疑似体験できるものがたくさんありますけど、その土地や場所、空間や家具が放つ空気感や肌感のように感覚的な部分は、デジタルな疑似体験の中では感じ取るのが難しい気がしています。だから、小さい頃からいろんなものに触れたり、本物の素材を知ったり体験して、土壌を持っていれば、大人になってもそういった感覚がまた呼び覚まされてくるのではないかと思います。
生活環境、育った環境、住まう環境、場所もそうだし、道具的なものとかも大切に考えていくこと、それを小さい頃に触れさせてあげることは感覚的なことを養えるのでとても大切ですよね。
(島田)大人になってからそういた感覚的な部分を磨こうとしてもなかなか難しいものですよね。大人は結局、頭で理解しようとするから。だからといって、それが駄目ということではないんです。もっと興味を持って物事を見ることで分かる面白さもあるでしょう。それで知識に奥行きが生まれて、暮らしやライフスタイルに反映されてくると思うんです。絵画やアートを鑑賞したり、どこかにでかけて建物を見たりすることで、世界が広がるし可能性も生まれたりするように。
家具は私たちにとって道具の一つですが、ただ道具として扱うのではなく、生活空間に置かれることで初めて活きるものだと思うんです。だから、この家具ならどんな空間に合うか、この空間ならどんな家具が似合うか、といった両方からの見方が備わってはじめて、道具として活かされるところはありますよね。いろんな角度から物事を見ることで気付ける何かがあるはずなんです。
今回で最後となった代表島田夫妻へのインタビュー。いかがでしたでしょうか。
私たちスタッフも普段の仕事の中ではなかなか聞くことのできない、カーフとブラックボードに脈々と流れるお二人の古いものへのリスペクトがひしひしと感じられました。いくら時代が進歩しても様々な技術が進化したとしても、忘れてはいけないことや残していくべきモノやコトは必ずあるはずです。自分なりのそういったものをいつまでも大切にしていきたいと思いました。
またいつか、このような形でインタビューをご紹介できたらと思っていますので、楽しみにしていてください。
「karf History 〜カーフスタイルができるまで〜」
Vol.1 1980年代 創業と初期のオリジナル家具
Vol.2 1990年代 北欧スタイルへ
Vol.3 普遍であること
Vol.4 デジタル時代のモノづくりに思うこと
Vol.5 ビンテージ家具とBlackboard
Vol.4 デジタル時代のモノづくりに思うこと
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スタッフ:なんでもシステム化、IT化されている現代ですが、ひとつひとつ職人の手によって家具をつくり続けているカーフとして、何か感じていることはありますか?
(島田)今懸念しているのは、豊かな時代になってきたけれど、その豊かさと云われるものが家を取り囲むすべてが『石油製品化していく』、『家電化していく』、みたいな怖さです。
例えば、個体差が無く汚れに強くお手入れが簡単、そしてすべてが電子機器で制御された家に住んでいたら、何かがおかしくなりそうな気がしてしまうんです。
どんどんファストファッション、ファストインテリアみたいな傾向になってしまうことに我々がブレーキをかけていく必要があるんじゃないかと思っています。
しかし最新化が進むその一方では、古い街を再生していこうみたいな動きもあるから、すごく両極ですよね。ヴィンテージの車が好きっていう人もいれば、テスラが好きという人もいるみたいに。
今でこそ、エシカルや、SDGsなんて云われているけど、そもそもこの仕事を始めた35年前から、『良いものを長く使う』、『古いものは修理して使う』そういった二次流通があることを前提にしてきたので、そこは今後も続くものだし、続けていかなくてはいけないことだと思っています。誰かがいらなくなったものを、必ずまた別の誰かが使って循環していくように。
モノって創り手や使う人そのものを表すと思うんですよ。
例えば、同じ図面を二人の職人さんに渡したとして、パーソナリティが違えば全く別のものができてくるように。デザインはまさにそれです。そこには必ず、その人の『人となり』が出てくるものなんです。この『人となり』は、いろんな経験の積み重ねでできるものだったりします。
昔は、人生の先輩が自分で経験をして学んだものを若い人に教えて、学んで、というように先輩の道をなぞっていく流れがありましたけど、今は逆で、若い人の方が時代を先取りしているから、先人の経験そのものが手かせ足かせになるような部分があるでしょう。
先輩が「昔はこうだったんだよね」というと、
後輩が「え?そんなに効率悪い事してたんっすか?これで一発っすよ。」
先輩は「・・・」
こんなことも往々にしてありますよね。
効率も大事、便利なことも大事だけれど、そればかりではいけないと思うんです。
若い頃は食器なんかもとりあえず食事ができればいいと言って量産品ばかりを使っていたけれど、ある時、焼き物の器でお茶を飲んだら『なんかいつものお茶と全然違う気がする…』なんてことに気づいて、自分で陶器を探して使い始める…。そんな小さな体験の積み重ねをして、良い物を知ってく流れが理想だと思っています。
些細なことかもしれませんが、もっと良いものを知る機会を作ったり、あえて遠回りしたり、そんなことをした方が、辿り着ける場所は多いのではないかと思います。
(幾子)オリジナル家具を作り始めた頃に欧州のアンティーク家具が輸入されるようになってきていたので、”家具といえば決まりきった婚礼家具”といった今までの日本の家具文化とは違う時代が来る、我々が作っているような家具を選ぶ人、良いと言ってくれる人も増えて、日本人の意識や感覚とセンスもより豊かになる!そう思っていたんですが、実際はそうでもなかったです(笑)。
また別軸の、ファストファッションやファストインテリアが現れて。そこに今度は、ITやいろんな素材が混ざってきて。
当時、私たちが思い描いていたインテリアの未来は予想していたよりもだいぶ違ってきています。でもそういった効率や先進技術みたいなものがある逆側で、古民家を好む人も増えたり、田舎に移住する人が増えたりして、副作用?反作用?みたいなものからなのでしょうか。
SGDsもうそうだけど、社会全体がいま、そこでバランス取っているのかな、とは思いますよね。
(島田)古民家って言っているけど、田舎で育った我々からすると『それ古民家とは言わないのでは…?』ということも多々ありますよ。(笑)
(幾子)そうそう。ビンテージって言っているけど、それまだ30年しか経っていないものですよね?みたいなこともありますしね。
次回はいよいよこのシリーズの最終回です。
創業時から島田夫妻(カーフ)の根底にある、ヨーロッパのアンティーク家具や北欧のビンテージ家具という存在。それらを存分に表現した場所へ。
カーフがプロデュースするビンテージ家具ショップ、Blackboardつくばのオープンへと話は移ります。お楽しみに。
「karf History 〜カーフスタイルができるまで〜」
Vol.1 1980年代 創業と初期のオリジナル家具
Vol.2 1990年代 北欧スタイルへ
Vol.3 普遍であること
Vol.4 デジタル時代のモノづくりに思うこと
Vol.5 ビンテージ家具とBlackboard
Vol.3 普遍であること
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スタッフ:家具をデザインする時に大切にしていることや、デザインの源になっていることなどはありますか?
(島田)オリジナル家具をデザインする時は、自分の中から湧き出てくるアイデアというより、古い家具のことがいつも頭の片隅にあって、同時に素材を活かしてシンプルつくることを基本としています。そこは35年経っても変わっていません。
例えばイギリスの図書館に置いてある家具。機能性重視で作られているから必要以上にデコラティブじゃないんですよ。最低限のデザインしかされていない…けれど飽きない。そのデザインであることに安心感さえ覚えるというか。素材を活かしてシンプルに作ると、そんな気持ちになるのかもしれませんね。
(島田)デザインは作られた時代によって表現方法が変わりますよね。カントリーがブームだったらカントリーに寄せたものになるし、モダンがブームだったらモダン、インダストリアルだったらインダストリアルというように。
でも、だからといってそのまま流行を追ってしまうのは違うと思っています。デザインを考えるときは家具を単体で見るのではなく、空間やインテリアにどう合わせるか「こんな空間ならこんな家具が似合うよね。」といったようにインテリア(空間)の中でどう見えるか、その点をものすごく大事に考えています。
家具はあくまでもインテリアの一要素なので、それひとつの完成度が高ければ高いほど、個性が際立ち過ぎて他が弱まってしまうんです。デコラティブなものをいっぱい集めてしまうと、げんなりしてしまいます。だから、家具はちょっと物足りないぐらいがちょうど良いんです。そこに少しずついろんなものを集めて調和させていくのが、インテリアの面白いところです。
昔、お客様と話をしている時に、よくこんな事を言っていました。「20代で結婚する時に買った家具を、50代になってから恥ずかしくてもう使えない…」なんてことにはなりたくないですよね、と。せっかく高い買い物をするのだから、「20代に買った家具を50代になっても変わらず使っている、何年経っても飽きないよね。」と言ってもらえるような家具を作って提供する、そんな仕事が理想です。
(幾子)カーフとして最初に出したオリジナル家具に、ライブラリーというシリーズがあったんです。図書館にあるような家具をイメージした、ファイルチェストやカードを入れる小さい引き出しをたくさん並べたものです。
パイン材のチェストも「ファイルチェスト」という名称にして、それは今でも気に入っていて自宅でもずっと使っていますよ。パイン材はカントリー家具というイメージではないものを作っていましたね。
スタッフ:デザインする上で情報収集はどんなことをしますか?
(島田)本当は雑誌も見たくないし、展示会にも行きたくないんですよ。(笑)才能に溢れた人たちがいっぱいいるし、その才能をうまく活用した企業もいたりして、そういうのを見ると、なんだか無力感に襲われるというかね。
それに個人的には新しいデザインがあんまり好きじゃないということもありますね。北欧家具もいろいろ新しいブランドが出ていますけど、見る分にはいい。でも扱いたいとは思わないですね。なぜなら、それらは賞味期限が短いような気がするから。だから新しいモノの情報よりは、古いモノを見ることの方が多いです。
カーフが掲げる『OLD MODERN FURNITURE』。これは僕の造語なんですが、ここで意味するモダン(新しい、現代的)は、今現在のモダンを指すものではなく、あくまでも1950年代60年代の家具のことを指しています。その年代のモダンスタイルが好きなので『OLD MODERN』としているんです。
時代を経ても残ってきたものに対してすごく安心感があるんですよね。だから自分たちも商品寿命が長いもの、ロングライフの商品を作りたいですし、扱いたいと思っています。そのためには、あまり旬なデザインは身に纏わないほうがいいんです。
僕らは常に普遍性みたいなものを導き出そうとしていのかもしれませんね。厳密に言うと不可能かもしれませんが。
(島田)僕は自分自身の事をデザイナーではなく、あくまでも編集する人、エディトリアルデザイナーだと思っています。家具のディテールを編集していく中で、「こういうのがいいんじゃない?」、「でも脚のデザインはこうで」、「背もたれはこうで…。」といったようにね。結構うるさいエディターかもしれません。(笑)
根底には今までいろいろ見聞きしたモノ・コトの蓄積から来ているものがあります。新しくデザインをクリエイトしているということではなく、軸足は常に古いモノにあって。新しい家具をオリジナルで作り出しているから矛盾する点ではあるんですが、常に古いものに寄り添っていたいんです。
過去を捨てられないヤツ。(笑)良く言えば『継承』そういうことにしておきましょうか。なんでも新しいからと飛びつくタイプはないですね。警戒しながらも少しずつ慣れていこうかみたいな。最初は拒否反応があって、そこに行くまでの時間がかかるんですよ。保守的なのは県民性ですかね(笑)
今回、島田代表が話してくれた話はまさに『故きを温めて新しきを知る』ということ。年代物の家具は今の自分たちでは経験できない時代背景を纏っているかと思うと、そこから学べることは多いですよね。
さて次回は「デジタル時代のモノづくりに思うこと」についてお話いただきます。
「karf History 〜カーフスタイルができるまで〜」
Vol.1 1980年代 創業と初期のオリジナル家具
Vol.2 1990年代 北欧スタイルへ
Vol.3 普遍であること
Vol.4 デジタル時代のモノづくりに思うこと
Vol.5 ビンテージ家具とBlackboard
Vol.2 1990年代 北欧スタイルへ
アンティークやカントリースタイルから、アメリカンミッドセンチュリーや北欧家具へと移り変わり始めた1990年代。当時感じていた時代の変化について伺ってみました。
スタッフ:現在カーフのオリジナル家具の背景にあるのは北欧家具ですが、そこに惹かれた理由はどんなことだったのでしょうか?
(島田)五反田の線路沿いにあった店の時代は、アンティークテイストやパイン材を使ったカントリークラシックな家具を作っていたんですけど、少しずつ時代の潮流も変わってきて、その頃の目黒通りの家具屋もミッドセンチュリーやモダンな家具を扱う店が増えていましたね。アクメさんも昔はカントリーとかクラシックテイストの家具が多かったんですが、だんだんミッドセンチュリーの家具を扱うようになってきたりして。
そういう時代が変わりはじめていたときに、自分たちのオリジナル家具も少しシンプルなものが増えつつありました。
デザインも色々トライしていたんですが、最初に作ったアンティークとかカントリーテイストの家具がお陰様で結構ヒットしていたので、なかなか脱却できずにいて。ほら、演歌歌手の方が歌謡曲を歌うようになったとしても、お客さんからは「あのヒット曲歌って!」みたいになるでしょう。そういう現象が起きていて、そこで悶々とした日々を過ごしていたんです。
だから『イメージを変えるには、場所を変えなきゃ駄目だ!』となって、その時ちょうどココ(現在の目黒店)を見つけて、いろんな事が重なって移転することができたんです。
(幾子)でも、移転してもまだアンティーク・カントリー・クラシックスタイルの時代は結構長く続いていたんですよ。人気もあったし。目黒に移って来た当初は、1階の奥の方にはパイン材の家具を置いていて。2階はわりとミッドセンチュリーな感じで、そこにインダストリアルなものも入れていたりしていました。
移転当初は、ひとつのショップの中に3つ柱があった感じですね。『カントリークラシックの名残』と『北欧やアメリカのミッドセンチュリー』そして『インダストリアル』。ここで初めてスチールの事務機とかも入って。
(島田)その頃、LAなどでもカントリー系アンティークショップだったところが、北欧系になっていたりしたから、トレンドが変化していた時期でもありましたね。
クラシック・カントリーからモダン・ミッドセンチュリーに切り替わり、イームズやジョージ・ネルソンなどのアメリカンミッドセンチュリーから火が付き始めて。そこからだんだん北欧モダンに移っていった、という感じで。プラスチックとかスチール素材といった現代的なマテリアルに一旦振れて、そのあと北欧の木質系になっていく、そんな流れだったと思います。
でも僕は、LAで最初に北欧家具を見たときは「北欧家具?へ〜」「すごいな〜この作り。」「こんなマニアックな家具売れるの?」って、なっていたんです。シンプルでストイックなデザインだし、かなり大人っぽい感じに思えましたよ、当時の僕にとっては。
(幾子)私は、クラシック系から北欧に移行するとき、自分が育った家が今思えば北欧風だったので実家へ戻ったような感覚が強かったです。
実家の家を建てた時に家具を決めたのが母で、おそらく、当時東京などで流行っているものを取り入れたんでしょうね。そういう家具に囲まれて育ってきたから「北欧家具」と云われると実家のイメージが強すぎて、自分の中では新鮮じゃなくて。当時は本物との違いもよく分っていませんでしたしね。(笑)
(島田)その時代時代でトレンドがあるので、それが伝わってきて自分の関心も変わっていきましたね。オリジナル家具のデザインにも多少影響は出ていたと思います。
僕自身いい意味でミーハーなんですよ。別に『カントリーの家具しかやらない』と決めていたわけでもなかったですし。ただベースにある『本物の素材感や経年の変化によって味が出るものを作る』という点は変わらず一緒です。
気をつけているのは、トレンドだからといって、必要以上にそこを強調しすぎないこと。自分が受け入れられる程度のシンプルさで作るということ。それらを念頭にちょっとずつテイストを変えたりしています。
僕の中では北欧モダンの家具も、イギリスのクラシックなスモーカーズチェアも、ある意味では一緒。どちらもその時代の中でできる最大限のスキルが詰まっているものでしょう。木を切り出して、一つ一つ手作りして、当然個体差も多少出てくるけど、それもまた味で。『その時代の人たちが一生懸命作っていたもの』そういった意味で、北欧のミッドセンチュリー家具も、1800年代のイギリスのクラシックな家具も、僕にとっては同じ感覚で見えているんです。
時代によってデザインやスタイルが変わったとしても、『素材を活かしてシンプルに作る』という根底が変わらなければ、どんな時代を迎えたとしても、これが現在(いま)のカーフなのだと示すことはできる。そんな事を思った今回でした。
次回「普遍であること」では、島田代表が家具をデザインする上で大切にしていることなどについてのお話です。お楽しみに。
「karf History 〜カーフスタイルができるまで〜」
Vol.1 1980年代 創業と初期のオリジナル家具
Vol.2 1990年代 北欧スタイルへ
Vol.3 普遍であること
Vol.4 デジタル時代のモノづくりに思うこと
Vol.5 ビンテージ家具とBlackboard
Vol.1 karf History 〜カーフスタイルができるまで〜
創業から今年で35年を迎えたkarf。
創業当時の話からこれからのモノづくりに思うことなど、代表の島田夫妻にスタッフがインタビューいたしました!
独立時の話、家具やインテリアに込めた思いなど、普段忙しくてなかなか聞くことができないことをたくさん話していただきましたので、今回からシリーズにして公開していきたいと思います。
「karf History 〜カーフスタイルができるまで〜」今後のラインナップは以下の通りです。
Vol.2 1990年代 北欧スタイルへ
Vol.3 普遍であること
Vol.4 デジタル時代のモノづくりに思うこと
Vol.5 ビンテージ家具とBlackboard
Vol.1 1980年代 創業と初期のオリジナル家具
スタッフ:それでは早速、創業のきっかけについて教えてください。
(島田代表:以下、島田)
実は、僕はもともと家具が大好きだったわけではなかったんです。
大学卒業時は確とした職業感を持たずに就職してしまったのですが、その中でいろいろ経験していくうちに段々と『自分が本当に興味を持って一生できる仕事がしたい』と思うようになって、行き着いたのが家具だったんです。そして20代で家具工房の門を叩いたわけです。
工房では無垢材を使って家具を作っていたんですが、親方が工芸的なものが好きな人で、耳付きの欅(けやき)の一枚板を使ったテーブルや、木の節(ふし)を活かしたものなどを作っていて。作った家具を発表する場は銀座のギャラリーでの個展でしたね。
そこは基本的にオーダー家具の依頼が来るのを待つスタイルだったので、あまり仕事も多くなくて。だから設計事務所さんなどに訪問営業してオーダー家具の注文を頂いていたんです。
当然のことながらオーダーメイドの家具はお客様主体なので、自分が「こうしたほうがいいのに」と思っても、なかなか反映されないんですよね。だから次第に自分の中で、“注文に合わせていくモノづくり”に違和感を覚えるようになって、だったらオリジナル家具を作って「自分たちのスタイルはこれです!」と、打ち出してみようとなったんです。それが創業のきっかけですね。
(島田幾子さん:以下、幾子)
当時は今みたいに家具のデザインが多くなくて、どれもこれも昔の婚礼家具のような重厚感のあるものしかない中で「自分たちが欲しい家具って何だろう?」と向き合った時に、まわりには欲しいと思える家具がなかったんですよね。それで『自分たちが欲しい家具を作ろう!』となったんです。
そうしたら今度は作った家具を見せる場所が欲しくなって、それで店舗を借りたんです。それまではずっと事務所みたいなところで島田が一人で作業していたんですよ。
洋服屋さんに納めるディスプレイテーブルをアンティーク仕様にするためにその事務所に持ち込んで、工具でトントンやって、ワックス塗って、塗料で頭がフラフラになりながら作業していたこともありましたね。
私はそこで電話番して、島田は外に営業に行ってという感じで、なんだか懐かしいです。
(島田)最初の頃は、米軍基地の軍人住宅に備え付けられていたような、ニュートラルでシンプルな家具を模倣して作っていたんですが、いざ本当のオリジナル家具となってみると、意外と難しくて。
それまでデザインの勉強をしていたわけでもなかったのでアイデアも全然浮かんでこないですし、だからいろいろな物やお店などを見て歩いたり、写真を撮らせてもらったりしながら勉強しました。
(島田)当時、我々の上の世代である団塊の世代は、欧米に対する憧れやそんな暮らしを手に入れたいという人たちが多かったので、僕らもそれに影響を受けていましたね。実際にアメリカやイギリスに行って、古いものを見て歩いたりもしました。
その時はクラシックやアンティーク、カントリースタイルといった様式のあるものが評価されていた時代で、古い物のリプロダクト的なアプローチでもあったんでしょう。パイン材という素材もそうですし注目度も高かったです。
(幾子)私も島田も西洋の図書館にあるような棚や、図書カードを入れる引き出しがいっぱいある事務機器的なものが好きで、それらをオリジナルの家具に取り入れてデザインしていました。
(島田)あの当時は、家具屋さんに並んでいる家具と言えばツルツル・ピカピカのウレタンで固めたような量産家具が大半でしたね。戸建ての各家庭には応接間があって、そこで使う応接セットの家具も重厚感があるものばかりで。
でもそれと同時に一部の小さな家具工房や若い職人たちがベーシックな家具を作り始めていた時代でもありました。
昔は今みたいに情報や家具のバリエーションも豊富ではなかったので、実際目にできるものは限られていましたね。若い頃に旅したアメリカには既にヨーロッパの流れを汲んだアメリカのアンティークと呼ばれる家具がありましたけど、日本ではまだまだそういうものを見る機会も場所も少なくて。
そもそも日本の場合は、生活様式が畳にコタツでしょう。当時、国内で家具の勉強をしようと思ったら民芸家具や横浜か神戸の洋家具のようなものしかなかったので苦労しました。
(幾子)私も、最初から家具がすごく好きだったわけではなくて、やりながら好きになっていったという感じですね。
もともと、洋館やそこに置いてあるような古い家具が好きで、クタってもかっこいい、古くて素材感のあるものに惹かれていて。だから自分たちが作るオリジナル家具もそうなりたい、というのはずっとありました。
この仕事を始める前はインテリアや家具の仕事は全くしたことがなくて、せいぜい部屋の模様替えくらい。(笑)古い建築物が身近にあるような環境で育ったこともあって、古い家具も好きでした。
子供の頃に通っていた小学校も木の廊下があるような古い校舎だったんですが、今思うとすごい建物だったんだと思います。
そのような環境で育ったので、いわゆる明治とか大正ロマンみたいな建物がとても好きだったんです。多分、そういうものから影響を受けていたんだと思います。
(島田)幾子さんは街育ちだからね。北九州市の文化的な環境に囲まれて、教育もお茶とかお花とかも習っていたんだよね。僕は茨城ののどかなところで育ったんですが、家の周りには何もないところで。ガチガチの因習と古典的な考えが根強くありましたからね。それでいて高度成長期に建てられた家や、量産された家具に囲まれたような暮らしで、日本の伝統と西洋と中途半端なものが混じり合ったような感じでした(笑)そんな中でも自分自身のアイデンティティは何か?と考えたときに、『モノ』に対する興味感心がすごくあったことに気づいて、特に家具のディテールが気になっていましたね。
(幾子)島田は細部にこだわりがあるんですよ。「ここの厚みは…、ここのジョイントが…、ここの金具がかっこいい…」みたいに。それで昔、恵比寿にパーツショップもオープンしていたくらいです。私はどちらかというと空間そのものや建物が好きで、そこから家具に入ったので、お互いその辺が逆な気がします。
私はアルミや木などの素材も好きで、どんな家具が好きかということよりも、その空間にどう素材を組み合わせるかをよく考えますね。だから、木だけ金属だけではなく、ファブリックや焼き物が加わることで絶妙なバランスが完成するんです。そこに心地良さを感じます。
ひとつの素材で固めた空間はちょっと息苦しく感じてしまうので、ディスプレイをする時にも素材同士が偏らないように気をつけています。
(島田)家具の世界に入ってはみたけど、家具の勉強をしていたわけでも、材料の勉強をしていたわけでもなかったので手探りでしたね。最初の頃は「自分たちにふさわしいものってなんだろうって」と模索の日々で。
そんな中、アメリカやイギリスを旅した際に目にした、図書館や博物館などで使われている本棚や図書カードを入れるチェストなど、実用性重視で作られたシンプルな家具にとても惹かれていったんです。
それとイギリスのテーラーで使われていたシャツキャビネットなんかもそうですね。そういった什器として作られたものを住宅の中でも使いたいと思うようになっていきました。
イギリスは日本と文化も違うので街や建物、家具・インテリアには作られた背景がひしひしと伝わるものがありましたよ。歴史の深さというか、奥深さというか。ただ素直に、凄いなと思いました。そういった西洋の家具の影響は大きかったです。
それから、家具との付き合い方も日本人とは違うことも発見で。その頃の日本人の感覚だと、テーブルの上にはガラスを載せたり、ビニールのシートを掛けたりして、なるべく傷がつかないように使うようなところがあったんですが、西洋はそうじゃなかった。ちゃんと道具として使われていて、そこでお茶したり、食事したり、素材の経年変化も楽しんでいたのが印象的でしたね。
(幾子)『時代を経ても勝負できる』そんな家具を作っている日本の家具メーカーが、当時は少なかったんですよね。
私たちがオリジナル家具を作り始めた頃になって、アンティークやビンテージ家具などがブームでしたね。
そういう流れもあって、創業当初のオリジナル家具には北欧の「ほ」の字もなかったんですよ。1990年代頃かな。その頃はどっぷりイギリス・ヨーロッパ家具のクラシックなテイストで、それから何十年かして北欧の時代が来るんです。
小さな事務所からのスタートだったというお話が、アメリカのIT企業のスタートアップ時を彷彿とさせ、話を聞いていたなんだかワクワクしました。
北欧家具の流れを汲んだ今のカーフの家具以前が、パイン材のカントリースタイルやクラシックスタイルだったということをご存知の方はもしかしたら少ないかもしれませんね。
次回は、現在のカーフスタイルになるまでのお話をご紹介したいと思います。
お楽しみに♪
家具のスタイリングで心地良い空間づくりのお手伝い
オリジナル家具を中心に、カーフのフィルターを通してセレクトした国内外メーカーの家具や照明、北欧ビンテージ家具など、お客様おひとりおひとりのご要望に合わせた心地の良い空間づくり(インテリアコーディネート・家具のスタイリング)をお手伝いします。
私たちを取り巻く環境は急速なデジタル化によって劇的に変化しました。
でも、変わらないこともあります。それは、家具との付き合い方です。
例えば、無垢材のダイニングテーブル。
そこはただ食事をするだけでなく、お菓子作りをしたり、子どもたちが勉強したり、仕事場になったり、ペンの跡や食べこぼしのシミ、傷がついたりして、家族と共に変化していきます。
そんな風に過ごした木のテーブルも天板の表面を削ることで生まれ変わり、また新たな思い出をたくさん刻めるようになります。
生活の中で何気なく目にし、触れることで豊かな感性と人やモノを大切にする心が育まれていくもの。私たちが送り出す家具が少しでもそのお役に立てるとすれば、こんなに嬉しいことはありません。
私たちは長い間、家具づくりやインテリアの仕事に携わってきたことで、感じたことや思いがたくさんあります。同時に、いち生活者として住まいの在り方についても真剣に向き合ってきました。
そんな経験をもとに、お客様それぞれのライフスタイルに合わせた住まいづくり、家具スタイリングのお手伝いができたらと日々考えています。もし、このようなことでお悩みの時にはお問合せ頂ければと思います。
・新居用に家具を新調したいけれど、どこで選べば良いか分からない。
・どんな家具から揃えて行くのがいいか、悩んでいる。
・流行りに左右されず、永く使える家具を揃えたい。
・おしゃれにコーディネートするアドバイスがほしい。
この他、家具のこと、スタリングのことなど、どんな些細なことでも構いませんのでお気軽にご相談下さい。
インテリアコーディネート・家具のスタイリングのご相談につきましては、直接ご来店頂ける場合は、図面やイメージしているものの写真などをご持参いただければ、店内の商品を実際に見たりお試し頂いたりしながら、ご要望に合わせてご提案いたします。
ご来店が難しい場合には、メールやお電話などでのご相談も承っておりますので、お気軽にお問合せ下さい。
インテリアコーディネート事例のご紹介
これまでの家具作りの知識と経験を活かし、お客様一人ひとりのニーズに合わせて、カーフオリジナル家具やセレクト家具(他社製品)、ビンテージ家具などを掛け合わせ、心地良くお過ごしいただける空間をスタリングしご提案してきた一部をご紹介いたします。
ご夫婦とお子様4人の6人家族のお住まいをコーディネート。間取りや素材選びなど、建築側の進行と同時に家具の選定と置き家具だけではカバーできない部分を特注家具でご提案したことで理想の暮らしを具現化することができました。
ご新居用の家具をトータルでコーディネート。お手持ちの家具に加え、節のあるウォールナット材やスチール材、石材など様々な素材がアクセントの家具を配置。木の素材感 × 異素材の組み合わせにより、空間をぐっと引き締めインテリアに奥行が生まれました。
住居内に上下階を分ける階段がある戸建住宅のような自由な暮らしが魅力的な空間。北欧の森・湖から感じる透明感や空気感をイメージし、家具雑貨等をセレクトしました。
家は心と体を休める休息の場所。そして自分の好きなことをできる場所であり、家族や大切な人とくつろぎの時間を過ごす場所でもあります。心から満足できる住まいづくりができるよう私たちがお手伝いいたします。どうぞお気軽にご相談下さい。
12年たった今。私たちのOld Modern style
– Owners Interview vol.3 –
東京都内にある3階建ての一軒家。karfオーナー・島田夫妻はここに暮らし始めて12年になります。まだ12年、もう12年。10年も経てば思い入れのある自宅だって、色あせて見える部分もあるのでは?
「できるだけそうならないよう、無垢材や珪藻土の壁など経年変化が美しい材料を使って、シンプルなデザインの家にしたんですよね」(雄一さん)
でも、住まいとともに自分たちも家族も成長するし、住んでみないとわからないこともある、と続けます。
「ちょっと違うな、と感じたら、必要に応じて調整すればいいと思っていて」(雄一さん)
たとえば、一カ所だけ淡いグリーンにペイントしていたキッチンの壁をグレーに塗り替えたり、リビングに置いた小さなチェアをそのときどきの気分で取り替えたり。そうして、少しずつ新鮮さを吹き込んで整えてきた、と話します。
おふたりには変わらずにいい、と思っているものも多くありました。家具に関していえば、ダイニングの中央に置かれたテーブル。karfオリジナルの無垢のホワイトアッシュ材のそれは、家族が集まる場にしたくてスペースに対してあえて大きめサイズを選んだとか。
2人の息子たちが幼いうちは、ここでクッキーを焼いたり、工作を作るための作業台にもなりました。落書きや食べこぼしのシミがついていたテーブルは、息子が成長した今、天板を削られ清々しく新しい表情に。
「シミだとしても家族の思い出が詰まっていましたし、愛着がわく。きれいに整え直してもいろんなことを思い出しますし、今だって大切に使っています。こういうふうに家具って長く使えるものだって、子どもには伝えられたかな、と思います。」(幾子さん)
白い3人掛けのソファもそう。これもkarfの20年近いオリジナル商品で、自ら使い心地のよさを体感中。ばふっと身をクッションに沈めてもいいし、背もたれ代わりにしても安らげる。なんといっても白いファブリックは、さまざまなテイストのクッションを合わせればそのときの気分に寄り添ってくれる、何も描かれていないキャンバスのようなもの……。
島田夫妻にとってのOld Modern styleは、普遍的なデザインと機能。そして時代や気分に合わせるしなやかさをともなって、この先もずっと続くようです。
2019.4 インタビュー記事
新しい定番を生み出す、開発の話
– Owners Interview vol.2 –
karfの家具にはいくつかシリーズがあります。たとえば、木の特性を活かしヴィンテージ感ある表情が特徴的なHolz(ホルツ)シリーズ。節の入った木材と黒色に焼付塗装したスチール素材の組み合わせが楽しめるKnot(ノット)シリーズ。直線主体のベーシックでシンプルなデザインのTrunk(トランク)シリーズなど、どれも素材のよさ、肌触りを最大限に引き出し、使っていて心地がいい家具。
私たちは「仕立てのいい暮らし」を想像しながら、ものづくりをしています。たとえば、白いコットンシャツや頑丈なワークブーツのような家具。カジュアルなものだとしてもきちんと作られていれば、使えば使うほど体になじみ、洗練されて見える。そんな、長く使えて普遍性を持った家具を目指しています。
長く使うためには、日本の住宅事情や時代に合ったニーズに合わせて開発をし直すことも。
たとえば、家電の進化によって家具に求められることの変化。色や質感、テイストなどのニュアンスを少しずつアップグレード。新鮮さを失わないよう、世の中の半歩先を見渡し、インテリアにできることは何かとミーティングと調整を重ねています。
今も、新しいシリーズを検討中。完成をご期待ください。
2018.12 インタビュー記事
Old Modern styleのエッセンスのひとつ、 ヴィンテージファニチャー
– Owners Interview vol.1 –
karfが目指す何十年経っても新鮮さを失わない家具、住まいのあり方。それをひもとくうちに、ひとつのキーワードが見えてきました。それが、ヴィンテージファニチャー。
ヴィンテージにはっきりとした定義はないものの、1950年~1960年頃アメリカで生まれたミッドセンチュリー、1950~1970年代に北欧で流行したスカンジナビアンなど、かつての名デザイナーと名工の手によって生み出され、今も世界中で愛されているマスターピースです。
「ヴィンテージファニチャーは、アメリカ、ヨーロッパ、日本など国を問わずモダンだったり、スタイリッシュだったり、もの自体の完成度がとても高いものが多くて、今でも色あせません」というのはkarf代表・島田雄一さん。
30年以上も前にデンマークでヴィンテージファニチャーと出合い、以来収集しているといいます。
「もの自体が魅力的だから、インテリアスタイリングのなかにヴィンテージファニチャーをひとつ置くだけで、空間が締まったり落ち着いたり。スパイスのような存在ですよね」。karfオリジナルとの相性がよく、かけ算のように独自の世界観が広がっていくのも、ヴィンテージの奥深さ。何度ブームとなっても古びることも消費されることもなく、そのときどきの時代の流れに違和感なく沿ってくれる。島田さんが「Old Modern Furniture」と尊敬を込めて呼ぶその理由が、確かにヴィンテージファニチャーにはありました。
2018.11 インタビュー記事